着雪氷防止技術研究クラスター
研究クラスター事業

着雪氷防止技術研究クラスター

自然の技術×ナノテクノロジー技術で、
省エネ・低環境負荷な雪害防止技術を開発

本クラスターでは、寒冷地特有の課題である着雪氷害について、様々な現場において実際に生じている実害をお互いに共有し、産学が共同で知識や技術を出し合い、着雪氷害を防止する新材料の開発することを目的としています。

コーディネーター

coordinator

平井 悠司 HIRAI Yuji

公立千歳科学技術大学 准教授・博士(工学)

専門分野

バイオミメティクス、自己組織化、ナノテクノロジー

経歴

北海道大学理学部化学科卒業
北海道大学大学院理学院化学専攻博士前期課程修了
東北大学工学研究科バイオ工学専攻博士後期課程編入学
日本学術振興会特別研究員(DC1)
東北大学大学院工学研究科バイオ工学専攻博士後期課程修了
東北大学多元物質科学研究所 高分子・ハイブリッド材料研究センター 助教
千歳科学技術大学バイオ・マテリアル学科 専任講師
公立立千歳科学技術大学理工学部応用化学生物学科 専任講師
公立千歳科学技術大学理工学部応用化学生物学科 准教授

所属学会

高分子学会、応用物理学会、日本表面真空学会、日本付着生物学会、日本マイクログラビティ学会、日本トライボロジー学会、日本機械学会、日本ゴム協会

地球温暖化に伴う降雪量の増加、引き続き雪害対策は重要な課題

2021年度、千歳市の降雪量は平年比150%と、非常に多くの雪が降りました。そして今後も地球温暖化に伴い大気中の水蒸気が増加、本州など温暖な地方の降雪量は減る一方、北海道などの寒冷地では増えていくことが予想されています。身近なところでは除雪の問題、廃屋の倒壊、雪庇による家屋等の損傷、道路標識や信号の視認性悪化など、解決すべき多くの課題があります。
さらに視野を広げてみると、着雪により鉄塔が倒壊したり電線が破断することで停電の危険性が生じ、着霜によって断熱されてしまうことでガスボンベからガスが出なくなる、船舶や灯台では波しぶきが冷やされて過冷却水となり、壁面に衝突することで氷となり、様々な問題を引き起こすなど、生活するために不可欠なインフラも含め、日々の生活では気が付かないところでも大きな被害が生じています。
熱で融雪・氷するためには莫大なエネルギーが必要ですので、省エネかつ低環境負荷な着雪氷防止材料の開発が求められています。

自然に学ぶ技術、そして、最新のナノテクノロジー技術を活かす

よく水を弾く蓮の葉、光を反射しない蛾の眼、どこにでも張り付いて、そして動けるヤモリなど、自然界には様々な機能を持った生物がいます。そしてナノテクノロジー技術の発展により、このような機能は生物表面の微細な構造が生み出していることが明らかとなりました。
生物表面の優れた機能から学び、そして真似をして機能性人工材料を創製する「バイオミメティクス」は、近年、非常に注目されている研究分野です。生物は過酷な環境で生き残るために、省エネルギーで効率よく機能を生み出しています。本クラスターもバイオミメティクス研究クラスターと連携し、寒冷地に住む様々な生物や植物から学び、省エネかつ環境に負荷をかけない着雪氷防止材料の開発を目指します。

産学連携によって、実害の解決を目指す

学術の分野では、基礎的な知見を得るために単純かつ明確な課題を中心に研究が進められることが多いです。しかし一方で、私達の住む環境は多種多様な要因が絡み合った、複雑な条件で様々な現象が起きています。
本研究クラスターは大学だけでなく、素材メーカーや建設会社、雪害に困っているインフラ企業などがメンバーとして参画しており、基礎学術-素材-加工-実装現場が一気通貫に揃っています。
研究室で諸現象を解明するための基礎的な研究を進めるとともに、実際に被害が生じている現場にも出向き、着雪氷問題を解決するためにはどのような材料や対策、設置方法が有効か、それぞれの視点から多角的に考察・研究・開発を進めることで、新たな着雪氷防止材料を創製、社会実装を通して、安全、安心で持続可能な社会の構築に寄与したいと考えています。

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